Linuxをインストールするには、CD-ROMかUSBメモリーから起動できる必要があります。いくら旧型パソコンとは言っても、これらのどちらも対応していない機種はまれです。なぜなら初期状態に戻す方法が、何らか用意されているはずだからです。それでもごくまれに、HDD内に初期状態に戻す方法が準備されていて、CD-ROMとUSBメモリーのどちらも起動には使えないような機種もあるかと思います。その場合はネットワークインストールしか方法がありません。ネットワークインストールにはサーバーの準備なども必要になるので、ここではCD-ROMとUSBメモリーのどちらかでブートできる機種を対象にしています。

BIOSの設定を変更する

Linuxをインストールするには、HDD以外からブート、すなわち起動する必要があります。HDDで起動してしまうと、そのHDD自身を書き換えるのが難しいためです。CD-ROMやUSBメモリーでブートするには、BIOSの設定を変更して、ブートする順番をCD-ROMやUSBメモリー優先に変える必要があります。主な機種では下記のキーボードのキーでBIOSメニューの表示ができます。

各社のBIOSブートキー

メーカー名BIOSブートキー
Lenovo、IBMF1キー
NEC、富士通、東芝、SONY、Dell、日立、Panasonic、Sharp、ASUSF2キー
HP、CompaqF10キー
AppleOptionキー

多くのメーカーでは起動時にメーカーロゴが出ている間にこのキーを押すと、BIOSメニューが表示され、メニューからハードウェアの起動の順番を変更できるようになっています。

CD-RやUSBメモリーにLinuxのブートイメージを焼く

CD-RやUSBメモリーにブートイメージを焼くソフトウェアは、OSごとに各種ありますし、標準の機能だけで可能です。このガイドでは今までWindowsを使ってきていることが前提ですので、Windowsでの方法をご案内します。ダウンロードするイメージは拡張子が.ISOのものを気に入ったディストリビューションのサイトからダウンロードします。

マウスの右ボタンで「ディスクイメージの書き込み」を選択する
「書き込み」を押すとイメージが書き込まれる

ダウンロードしたファイルから、マウスの右ボタンで「ディスクイメージの書き込み」を選択すれば、CD-Rへのイメージの書き込みができます。CD-Rは700MBまでなので、それ以上大きなファイルは書き込めません。DVD-Rには書き込めますが、LinuxをインストールするPCもDVD-ROMでブートできる必要があります。

ですので、そのような場合にはUSBメモリーに書き込む方が現実的です。ただUSBメモリーからはブートできず、ブートできるのはCD-ROMのみという機種も珍しくありません。そんなときには後述するPlop Boot Managerを利用することで、CD-ROMで起動後にUSBメモリーにブートをつなぐことができます。

USBメモリーを焼く際の神ソフトは日本人の方が作られたRufusを使うのが便利です。ほとんど「選択」ボタンでISOファイルを選択するだけで、あとは全自動でブータブルなUSBメモリーを作成できます。

「選択」ボタンでISOファイルを選択して「スタート」で書き込み
ここでは「OK」を押すだけ

Rufus公式サイト(https://rufus.ie/ja/)

これで書き込まれたUSBメモリーをインストールするPCに挿入して再起動すれば、ダウンロードしたLinuxが起動します。あとは画面に従ってインストールなどを行えます。

Plop Boot Managerの使い方

先ほど記載したように、700KBよりも大きいブートイメージはCD-Rには書き込めません。その場合にまずはCD-ROMで起動してから、そのブートをUSBメモリーに引き継ぐことができるソフトウェアがあります。

Plop Boot Manager公式サイト(https://www.plop.at/en/bootmanager/download.html)

こちらからZIPファイルをダウンロードして、中からISOファイルを取り出してCD-Rに焼きます。このCD-Rで起動すると、どこからブートするかを選択できるメニューが表示されます。ここで「USB」を選択すればUSBメモリーからブートできます。

ハングアップしてしまう場合はキーボードからShift+uキーを押してください。これはメニューから「SETUP>BOOT MANAGER>FORCE USB1.1>MODE 1」を選んだのと同じ意味になります。この選択でほとんどUSBブートができると思います。あとは画面に従えばLinuxのインストールが行えます。

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